国立新美術館、フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展に行ってきました。やっぱり間近に見る生の絵は迫力あります。
国立新美術館は初めて行きましたが、千代田線乃木坂駅から美術館まで直の地下通路で行くことができ、ウチからだと電車1本で行けるのが嬉しい。新しい美術館だけあって、さすがにデザインが凝ってますね。窓のところの写真を撮ってみました。
展覧はアムステルダム国立美術館所蔵の品が公開され、目玉はなんといってもフェルメール。「牛乳を注ぐ女」はポスターなどで観る限り、日常の働く女の一風景を切り取ったさりげない絵なのかななとど思っていましたが、それは大いなる勘違い(恥)で、解説をもとに実物を見てみると、実は精密に計算された遠近法に基づき、机の角度、部屋の家具の配置などなど、絵の効果が考え抜かれたものであることがよくわかります。X線などの写真も公開されていましたが、下絵の段階でフェルメールが試行錯誤している跡が見て取れます。そういえばこの間観た映画の中でも、マネキンをモデルに当時まだ出始めであろう写真機に投影して、光の具合や効果を見たりと、なんだか意外にも実験的な人だったのでしょうか?生涯の中でわずか30数点しか作品を仕上げていないとされていますが、かなり執拗なくらいのこだわりの人、かもしれませんね。想像すると楽しい。
それにしても完成された絵からは、そんな作品の過程を一切感じさせない、清潔な光を浴びたすがすがしい女の姿に惚れ惚れとさせられます。フェルメールの”ラピスラズリの青”がまた綺麗!
ともあれ、初期の写真機やラピスラズリの絵の具など、当時ではかなりの貴重品で高価であったとされているから、それほど裕福であったとは記録されていないフェルメールはどのように工面していたんでしょうか。パトロンはいたでしょうけど、それにしても、です。当時の画家はどんな様子だったのでしょうね。
オランダの風俗画というのは、それまで主流であった宗教画に対抗?するかのように発達したものらしいですが、とても大らかな印象を受けました。中には宗教画に対して皮肉ぽく題材に扱っているものもあって、晩餐のシーンが背景に小さく描かれているその前面に、食材を準備する女たちが大写しで描かれていたり、その女たちを誘惑する行商の男や農夫なんかの表情がまた実にいい顔で面白い。その場の台詞が浮かんでくるようです。
「なぁ、いいじゃないか」「だめよ、今忙しいんだから。後でね」って感じかな。
絵の素材などに、時々和紙が使われていたりしました。オランダと日本の歴史はさすがに長いなー。